2025/07/09 12:32
「紅茶の国」として知られるイギリスですが、その文化は一朝一夕に築かれたものではありません。中国で生まれ、ヨーロッパ大陸を経てイギリスへ渡り、王室から庶民までを魅了する国民的飲料となるまでには、約350年にわたる壮大な物語があります。ここでは、その芳醇な歴史を紐解いていきます。
紅茶の起源とヨーロッパへの伝来
紅茶の歴史は、その原料である茶の樹の利用が始まった紀元前の中国に遡ります。当初は薬として飲用されていましたが、6世紀以降には嗜好品として一般化しました。私たちが今日「紅茶」と呼ぶ全発酵茶の原型が生まれたのは、17世紀の中国・福建省であったとされています。
東洋の神秘的な飲み物であった茶がヨーロッパにもたらされたのは、17世紀初頭のことです。大航海時代にアジアとの貿易を独占していたオランダ東インド会社が、茶をヨーロッパに初めて紹介しました。イギリスに茶が伝わったのは1650年頃で、当初はオランダからもたらされた緑茶でした。それは「万病に効く東洋の秘薬」として扱われ、王侯貴族だけが口にできる極めて高価なものでした。
イギリス王室が育んだ紅茶文化
イギリスで紅茶文化が花開くきっかけは、王室からもたらされました。1662年、ポルトガルの王女キャサリン・オブ・ブラガンザがイギリス国王チャールズ2世に嫁いだ際、嫁入り道具として大量の茶葉と砂糖、そして喫茶の習慣を持ち込んだのです。異国の地での暮らしの支えとして、故郷の習慣であった喫茶を続けたキャサリン王妃の姿は、イギリス貴族たちの憧れの的となり、宮廷を中心に紅茶を飲む習慣が瞬く間に流行しました。
この流行を国民的なものへと押し上げたのが、18世紀初頭に即位したアン女王です。美食家としても知られた彼女は、1日に何度も紅茶を飲むことを習慣とし、その優雅なライフスタイルは上流階級の貴婦人たちの間に広く浸透していきました。
この頃、ロンドンではコーヒーハウスが社交場として賑わっていましたが、トーマス・トワイニングは紅茶の将来性に着目します。1706年に自身のコーヒーハウスで紅茶の提供を始め、1717年には世界初とされる紅茶専門店「ゴールデンライオン」を開業しました。当時、男性の社交場であったコーヒーハウスとは異なり、女性も入店できるこの店は大きな評判を呼び、紅茶文化の普及に大きく貢献しました。
国民的飲料への道
18世紀半ばになると、イギリス人の嗜好に合わせた発酵の強い紅茶が主流となり、産業革命がその普及をさらに加速させます。長時間労働を強いられた工場労働者たちにとって、カフェインによる覚醒作用と砂糖によるエネルギー補給が同時にできる紅茶は、厳しい労働を乗り切るための必需品となったのです。
しかし、依然として紅茶には高い関税がかけられており、庶民にとっては高嶺の花でした。この状況を打破したのが、トワイニング家の4代目リチャード・トワイニングです。彼の首相への働きかけにより、1784年に茶税が大幅に引き下げられると、紅茶は一気に庶民の間に広まっていきました。
さらに19世紀に入ると、イギリスはアヘン戦争などを経て、植民地であったインドやセイロン(現在のスリランカ)で茶のプランテーション経営に乗り出します。インドのアッサム地方で発見されたアッサム種などの栽培に成功し、安価で良質な紅茶を大量に国内へ供給できる体制を確立しました。これにより、イギリスは名実ともに「紅茶の国」としての地位を不動のものにしたのです。
アフタヌーンティーの誕生と文化の成熟
国民的飲料となった紅茶は、イギリス人の生活の中に深く根付き、独自の文化を形成していきます。その象徴が「アフタヌーンティー」です。
この習慣は1840年代、第7代ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアによって始められたとされています。当時の貴族の食事は、ボリュームのある朝食と、夜8時以降の遅い夕食の2回が基本でした。長い空腹に耐えかねた彼女が、午後の4時頃に自身の部屋で紅茶とパンを口にしたのが始まりです。やがて友人を招いて楽しむようになり、簡素な間食からサンドイッチやスコーン、ケーキが並ぶ華やかな社交の場へと発展していきました。
ヴィクトリア女王の治世(1837年〜1901年)には、アフタヌーンティーをはじめとする紅茶文化が黄金期を迎えます。「アーリーモーニングティー」で目覚め、「ブレックファストティー」で朝食をとり、「イレブンジズ」で仕事の合間に一息つくなど、1日に何度もティータイムを設ける習慣が定着しました。紅茶は単なる飲み物を超え、人々の暮らしに寄り添い、コミュニケーションを豊かにする文化として昇華されたのです。
このように、イギリスの紅茶文化は、王室の憧れから始まり、産業革命や帝国主義という社会の大きな変化の波に乗りながら、庶民の生活に深く浸透していきました。一杯の紅茶には、世界史を動かした壮大な歴史と、人々の暮らしを彩ってきた豊かな文化が溶け込んでいるのです。
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英国紅茶の歴史を旅する一杯。アシュビィズで本格ティータイムを。
「イギリスといえば紅茶」という言葉を、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。優雅なティーカップ、3段スタンドに並ぶサンドイッチやスコーン…。私たちが思い浮かべるアフタヌーンティーの風景は、長い歴史の中で育まれた、英国が誇る豊かな文化の象徴です。
今回は、その奥深い英国紅茶の歴史を少しだけご紹介しながら、その伝統を受け継ぐ私たち「ASHBYS OF LONDON(アシュビィズ)」の魅力をお伝えしたいと思います。
物語は、一杯のお茶から始まった
イギリスにおける紅茶の物語は、17世紀、ポルトガルから嫁いできたキャサリン王妃が宮廷に喫茶の習慣を持ち込んだことから始まります。当初は王侯貴族だけの贅沢な飲み物でしたが、やがて産業革命を経て労働者のエネルギー源となり、植民地での生産拡大によって国民的な飲み物へと進化していきました。
中でも、紅茶文化の華といえば「アフタヌーンティー」。19世紀、ある公爵夫人が昼食と夕食の間の空腹を満たすために始めたささやかな習慣が、やがて友人たちを招く華やかな社交の場へと発展したのです。
一杯の紅茶は、人々の喉を潤すだけでなく、心を繋ぎ、暮らしを豊かにする特別な存在として、イギリスの文化に深く根付いていきました。
伝統の味を、あなたの日常へ。ASHBYS OF LONDON
私たちアシュビィズは、そんな輝かしい英国紅茶の歴史と伝統を受け継ぐ紅茶ブランドです。
こだわり抜いた高品質な茶葉 アシュビィズの紅茶は、紅茶の名産地であるスリランカやインドから直輸入した、選りすぐりの高品質な茶葉のみを使用しています。茶葉本来の豊かな香りと深いコクを最大限に引き出すため、専門のブレンダーが長年の経験と技術を駆使してブレンドしています。
代表的なブレンドのご紹介
* ASHBYS BLEND TEA: アシュビィズを象徴するオリジナルブレンド。スリランカやインドの茶葉を使い、豊かな香りと深いコクが特徴です。まずはストレートで、そのあとミルクティーにしても美味しくいただけます。
*アールグレー: 英国紅茶を代表するフレーバードティー。ベルガモットの爽やかで上品な香りが、優雅なティータイムを演出します。アイスティーにするのもおすすめです。
忙しい日々に、優雅な一杯を目まぐるしく過ぎていく毎日。そんな時こそ、アシュビィズの紅茶でほっと一息つきませんか? 丁寧にいれた一杯の紅茶は、きっとあなたの心に安らぎと豊かさをもたらしてくれます。
英国の貴婦人たちが楽しんだ午後のひとときに思いを馳せながら、ご自宅で本格的なアフタヌーンティーを開いてみるのも素敵ですね。
アシュビィズが、あなたの日常を少しだけ特別にするお手伝いができれば幸いです。ショップページで、あなただけのお気に入りの一杯を見つけてみてください。